OTCを学んでみたいからドラッグストアに勤めてみたい
ドラッグストアってブラックだからやめとけって本当?
こんな疑問について解説していきます。
↓ 記事の流れ
・ドラッグストアがブラックと言われる理由
・ブラックなドラッグストアを避けるためのポイント
・OTCを学ぶにはどうすれば良いか
この記事を書くボクは過去に某ドラッグストアの調剤薬局で働いていましたが、会社都合で物販部門へ異動となりドラッグストア薬剤師として3年間勤務した経験があります。
誰しもドラッグストアはブラックだからやめた方がいいと聞いたことはあるでしょう。
その理由は薬剤師以外の業務があり仕事量も多いため残業になったり、従業員の離職率が高く人手不足でさらに仕事量が増えて過酷な労働状況になりやすいからです。
また若いうちにドラッグストア薬剤師になるとせっかく覚えた薬剤知識を活かす場面が極端に少なく、どんどん忘れていってしまう恐れがあります。
しかし計画的な働き方によってはドラッグストアで働くことも良い場合もあります。
そこで今回はボクの経験を元に、ドラッグストア転職を考えている20代〜30代の若い薬剤師に向けて自分に合った失敗しない転職のコツをお伝えして行きます!
ぜひ最後までこの記事を読んで薬剤師でOTCを学ぶための道を切り開いていってください!
ドラッグストア薬剤師はやめた方がいい7つの理由
新卒就職や転職をする時にドラッグストアはブラックだからやめとけと一度は聞いたことはあると思います。
やり甲斐がないって聞いたことあるけど具体的には知らない・・・
と漠然としたイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。
そこで今回は実際にドラッグストア薬剤師として約3年勤務したボクがブラックだと感じた理由を7つを以下に紹介します。
・OTC業務よりも別業務の方が多い。
・PB商品などの販売ノルマがある
・勤務時間が長い
・人間関係が難しい
・サービス残業がある
・昇給し辛い
・休暇が取り辛い
それではひとつずつ理由も説明していきます
OTC業務よりも別業務の方が多い
ドラッグストア薬剤師の魅力はなんといってもOTC業務をメインに患者さんへ問診を行い適切な薬剤を選んで販売することですよね。
ボクも物販部門へ異動することが決まった時はOTC業務の知識やスキルを身につけることができると期待を胸に膨らませていました。。。
しかし!
いざドラッグストア薬剤師となって業務に携わることになると
・レジ打ち
・日配(お弁当や冷蔵食品など)廃棄
・前出し作業(店内売り場整理)
・棚替え(商品棚のレイアウト変更)
・栄養ドリンクの試飲会
・納品作業
などなど一般スタッフと同じ業務をこなすことになってしまっていました。
なぜ別業務をするハメになるかと言うと、人手不足のため代わりに業務を行ったり本部からの大量の業務指示を完了させる必要があるためです。
むしろOTC業務を行うために医薬品コーナーに常駐している時間の方が少ないです。
理想は新しいOTC商品を学びつつ販売スキルや適切な薬剤の選定していくことでしたが現実はそうも行きませんでした。
PB商品の販売ノルマがある
薬剤師としてお客さん(患者さん)に問診→適切な医薬品を選択→服薬指導→販売を行うのが理想的な流れですよね。
しかし、ドラッグストアと言うのはあくまで小売業なので利益重視な世界。利益の取れる商品をガンガン売って数字を獲得していくことがメインとなります。
なかでもプライベートブランド商品(略:PB商品)と呼ばれるいわゆる自社商品があり、これは利益率がかなり高くなっています。
なのでPB商品の知名度や売上を立てるために本部からの指示で1ヶ月以内に最低10個販売するようになどとノルマを課せられることがあり、本来売りたい商品よりもPB商品など利益率の高い商品を優先して販売し売上を伸ばすことが求められます。
そんなの無視してお客さんに合ったものを売れば良いと思うでしょうが、エリアマネージャーや店長など上司からのかなりのプレッシャーや指導がありそうもいかなくなってしまうのです。
勤務時間が長い
ドラッグストアで働くスタッフの大半はアルバイトやパートで編成されており、正社員は1店舗に1〜2人しか配属されていないことが多いです。
学生アルバイトやパートさんは突然の欠勤となることもあります。その穴を埋めるのは基本的に正社員となるのです。
また、この業界は離職率がかなり高いので登録販売者などの資格保持者が欠ければ医薬品コーナーの配備者が足りず、代わりに欠勤者の分まで勤務することもザラです。
他にも勤務時間内に仕事が終わらないので残業となることも多々あり、ボクも定時に上がれることは少なかったです。
人間関係が難しい
ドラッグストアで働くスタッフの多くは学生アルバイトやパートのおばちゃんで編成されています。
パートさんにもショートタイムやミドルタイム・フルタイムに分かれており、それぞれで派閥が存在していることもあります。
パートさんの多くは女性スタッフですので、いわゆる女の世界でピリピリとした空気感な職場が多いのです。
また、どこの店舗にも強い意見を言ってくる厄介なスタッフが必ずと言って良いほど存在します。
そういう人に異を唱えたりするともう大変です。翌日からいじめのようなものが始まることも多く、とても働きにくい職場環境となってしまうことは珍しくありません。
学生アルバイトもまだ子供なので精神的に幼稚な部分があります。気が利くしとても仕事ができる子も中にはいますが、学生は基本社会的なマナー指導が必要と考えておいた方が良いのです。
このように様々な年齢層のスタッフとお互い関わって仕事をしていかなければならないので人間関係が複雑な職場で苦労することは多いでしょう。
サービス残業がある
働き方改革で昔に比べればサービス残業や残業がかなり減った方だそうです。
しかし、減っただけで実際は残業・サービス残業はあります。
表向きには残業はしないように上司からは言われますが、実際は残業無くしては済まない量の仕事を本部から指示されます。
季節によって仕事量は異なりますが大きく分けて夏と冬では売り込み商品がガラッと入れ替わるためその分仕事量が多くなります。
帰れるけど仕事が溜まるだけ。先延ばしにするだけで後々自分が苦しむことになるので仕方なく残業。はたまた暗黙の了解で残業をつけ辛くてサービス残業となってしまうのです。
昇給し辛い
続いて給料面について。
ドラッグストア薬剤師は給料自体は悪くはないのですが昇給は見込み辛いです。
あくまで薬剤師なので資格手当込みで手取り30万円近くは支給されるのですが、給料は昇格しないと上がりにくいです。
さらには昇格するほど、スタッフのシフト作成や売上報告書の作成などパソコン業務や売り場メンテナンスばかりでOTC業務にもっと関わり辛くなってしまいます。
休暇が取り辛い
シフト作成で希望休を店舗のスタッフに募集をかけますが基本的にパートやアルバイト優先で正社員は後回しにされてしまうことが多いです。
また、調剤薬局とは違いドラッグストアは日・祝日は休みではなく年中無休で営業している店舗の方がほとんどです。
さらに医薬品コーナーに配備ができる人員は貴重なのでより休みは取り辛くなります。
正社員として休暇を取る場合ゴールデンウィークやお盆・年末年始は休まず営業。さらにパートやアルバイトを優先させるので大型連休はまず休めないですし、長く休暇を取れても3連休が良い方でしょう。
ドラッグストアに就職するメリット・デメメリット
ここまでドラッグストア薬剤師への就職をおすすめしない理由を紹介してきましたが、次はメリットやデメリットは何かないのか気になった方もいると思うのでそれぞれ見ていきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
OTC業務で知識やスキルがある程度は身に付く 物販のノウハウなど経営スキルが身に付く コミュニケーション能力が上がる 入社1〜2年目程度まで研修制度がある | 薬剤師としてのスキルや知識が失われやすい 残業が多い。サービス残業も珍しくない 人間関係が複雑になりやすい 休みが不定期 力作業も多い |
ドラッグストア薬剤師として働くメリットは物販のノウハウや経営について学べたり、接客業なのでコミュニケーション能力の向上が見込めるところです。
そして研修制度は充実している企業は多く、OTCはもちろん化粧品や髪染め、介護用品などの商品の紹介・選び方などを実演形式で学べるので研修自体は良いです。
デメリットとしてはやはり薬剤師業務以外の業務が多いこと。さらにハードな勤務形態になることですね。
残業も多く休みも不定期。人員が足らずに1日の勤務時間が長くなることもよくあります。
残業代が付けられれば良いですが、職場や上司からの重圧でサービス残業となってしまうことも珍しくないのです。
また、薬剤師としてのスキルを磨きたい人は昇格などにより将来的に薬剤師業務から離れてしまうのでおすすめできません。
ドラッグストア薬剤師に向いてない人
これまでドラッグストア薬剤師をおすすめしない理由をボクの経験を元にお伝えしてきました。
次はこんな人はドラッグストア薬剤師に向いていないというポイントをお伝えしますので、参考にしてください。
・接客が苦手な人
・OTC業務に注力したいので別業務はやりたくない人
・スタッフの愚痴を聞いたりギクシャクした空気が苦手な人
一つずつ解説していきます。
接客が苦手な人
調剤薬局は主に患者さんを相手にしますが、ドラッグストア薬剤師は患者さんだけでなく買い物にきたお客さんへも接客をすることになります。
お客さんからすればアルバイト・パート・BA(ビューティーアドバイザー)・正社員・薬剤師などの区別なく全員ドラッグストアのスタッフとして何でも分かると思っているので、薬剤師だから医薬品のことだけ知っていれば良いというわけにはいきません。
当然店舗の利益のために適切な商品の紹介と販売を促す必要があるので、お客さんの満足のいく接客も必要となります。
さらにドラッグストアには小さな子どもから高齢の方まで幅広い年齢層が来店するので各々のニーズに合った接客が求められます。
物販業界はクレーム対応も多いのでその時々で適切な判断が必要となるのでコミュニケーション能力に自信がない人へは大変な仕事と言えるでしょう。
OTC業務に注力したいので別業務はやりたくない人
薬剤師免許を苦労して取得したのにレジ打ちや試飲会など誰でもできる業務はしたくない!
きっと薬剤師であれば誰でも思うでしょう。ボクも物販配属になった時は強く思っていました。
しかしそういう訳にはいかないのが厳しい現実です。
物販業界は利益を上げてなんぼの世界です。利益を得るためには必要最低限の人件費で済む従業員雇用が行われ、これが人手不足と言われがちな理由です。
人手不足であれば当然誰でもできる仕事は全員ができるような状況でなければなりませんので、薬剤師だからやらなくて良いとはなりません。
なので薬剤師業務に注力して知識やスキルを身につけたい人には不向きと言えるでしょう。
スタッフの愚痴を聞いたりギクシャクした空気が苦手な人
ドラッグストアは調剤薬局と比べると従業員が十数人と多く働いています。みんな仲良くできれば心地よく働けるのですが、そんな職場はなかなか存在しないものです。
特にパートタイマーはショート・ミドル・ロングタイマーと勤務時間数によって別れています。パートさんの多くは主婦が多いのでお互い同じ勤務時間の人でグループが出来上っています。
そうなるとグループ同士の派閥が出来上がり、陰口や文句など愚痴大会が始まりギクシャクした空気感が生まれてしまうのです。
この人間関係の複雑性がドラッグストアの離職率を上げる要因のひとつです。
パートさんから他の従業員の愚痴を聞かされることも度々あります。そう言った話を上手に聞き流したり、自分も一緒になって愚痴を言ってしまわないように気を付けなければなりません。
こう言ったドロドロした空気感が苦手な人はドラッグストア勤務はおすすめできません。
OTCを学びたいならドラッグストア併設型調剤薬局がおすすめ
OTCの知識を少し身につけたい程度であれば研修を目的に数年間だけドラッグストア薬剤師となるのも良いかもしれません。
しかし薬剤師スキルを磨きながらOTCも扱えるようになりたいのであればドラッグストア併設型調剤薬局へ就職するのがおすすめです。
ドラッグストアにはス◯薬局やブ◯ドラッグなど物販部門と調剤部門で業務形態を分けている企業があります。
調剤部門配属なら基本は調剤薬局で勤務をしますがたまに調剤薬局の方にOTCの相談にくる患者さんもいるのでその方に問診を行って適切な医薬品を選んであげることができます。
ただ、ずっと調剤専門で働けるかどうかに注意しておきましょう。
調剤部門で働いていたのに、ある日物販部門へ異動辞令が出てしまいドラッグストア勤務(物販部門)となってしまう可能性もあるのです。(これはボクの実体験です。。w)
転職する前にエージェントなどからその情報はしっかりと聞いておきましょう
ブラックなドラッグストアを避けて転職する方法
ドラッグストア薬剤師をおすすめしない理由や働きにくい現状をお伝えしてきましたが
それでもドラッグストア薬剤師を経験してみたい!
OTC業務を一度は学んで起きたい!
と思っている方もいるかもしれません。
そんな方たちにはせめてブラックな企業や店舗を避けるための方法をご紹介していきましょう。
転職サイトに登録し専属エージェントを活用する
ホワイト企業で働く上で必要不可欠なこと、それは何と言っても情報収集です。
そこでまずは転職エージェントが利用できる転職サイトに登録をしましょう
転職エージェントは自分の理想の雇用条件などを元に適切な企業や店舗を紹介してくれる強い味方です!転職活動を始めるなら転職サイトへの登録は必ずしておきましょう。
サイトに掲載された情報だけではわからない細かなことをエージェントに相談することで手早く対応してくれます。
転職サイトに登録したいけどいろんなサイトがあってどうすれば良いかわからない方もいると思います。
転職サイトによって派遣求人数やドラッグストア求人数が豊富など、取り扱う求人の種類が違います。
ちなみに転職サイトは複数登録しておくと選択肢の幅も広がるので余裕があればその他も登録してみると良いでしょう。
気になる店舗へ実際に行ってみる
紹介された店舗や企業があればそのドラッグストアに一度足を運んでみましょう。
薬剤師やその他の従業員がどんな働き方をしているのか、実際の現場を見て雰囲気を知っておくことも非常に大事です。
ドラッグストア併設型調剤薬局であればエージェントに相談して店舗見学の日取りを決めて行くことができるのでぜひ足を運んでください。
まとめ
本記事の要約
・ドラッグストア薬剤師はやめた方がいい7つの理由
・ドラッグストアに就職するメリットデメリット
・ドラッグストア薬剤師に向いてない人
・OTCを学びたいならドラッグストア併設型調剤薬局がおすすめ
・ブラッグなドラッグストアを避けて就職する方法
これまでドラッグストア薬剤師をおすすめしない理由をボクの実体験を元に紹介し、ブラックなドラッグストアで働かないためのコツもお伝えしてきました。
経験として数年間、企業のOTC研修や現場での接客業務をこなす為にドラッグストア薬剤師となることは良いかもしれません。
しかし人手不足になりがちなドラッグストア業界では店舗を運営するために全ての業務をこなせるようになる必要があるので当然薬剤師業務以外も覚えなければいけません。
せっかく得た薬の知識もどんどん失われていってしまう原因になります。自分でその分勉強を欠かさなければ良い話ですが、過酷な労働になりがちなこの業界では並々ならぬ努力が必要となるでしょう。
20代〜30代前半の若いうちは調剤薬局や病院などでしっかり経験を積んでその上でOTC業務を学ぶ方が良いと、ボク自身がそれを経験・痛感しました。
ボクと同じような道を辿らないためにも、しっかり薬剤師としての人生設計を組んで人生の選択を行ってほしいと強く思います。
若いうちに少しでもOTCのことを学んでみたいのであれば以下のような教材で知識を付けておいても良いかもしれませんね。
何か気になることがあればお気軽にコメント蘭やお問い合わせフォームからご質問ください。
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